設計図通りの建物を作ることが施工者である現場監督、前回紹介させていただいた言葉でいうと「工事管理者」の仕事です。
そして工事管理者が設計図の通りに施工をすすめているかを確認するのが「監理者」の役目です。
設計図という言わば「組立説明書」があるのだから、「その通りにやってね」でいいんじゃないの?監督に任せておけばいいのに何故「監理者」をわざわざ置かなくてはならないのか?設計事務所が現場にくるついでの仕事をやって余分なお金払わせているんじゃないの?なんて思う方、いるかもしれませんね。
実は「監理」という仕事は、我々のような立場の人間がお施主様に売り込んでいただく仕事ではありません。
建築基準法第5条の4第4項、第5項で「建築主は(中略)建築士である工事監理者を定めなければならない」と明確に定められています。つまり監理者を置かない工事は違法だということです。
では法律として義務化までして必要な理由ってなんでしょうか?
私は法を策定した立場ではないので、個人的な意見と前置きしての説明になってしまいますが監理者には以下のような重要な役割があると考え、業務にあたっています。
1)設計図書内容の正確な伝達
2)設計変更に対する検討及び指示
3)設計・施工のエラーに対するセーフティネット
4)建築主に対する現場状況の説明
5)建築主、施工者の対するアドバイザー
一般的に監理者の業務範囲として契約書に謳われているのは以下のようなものです。
聞きなれない言葉が多いと思いますが、このように一覧表化して見ると、「ついで」ですむような仕事量ではないのがお分かりいただけるのではないでしょうか?
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これだけの業務をお施主様の立場に立って遂行するために重要なキーワードがあります。
それは「設計と施工を分離すること」です。
いわゆる「設計施工(設計者と施工者を一社にして発注すること。ハウスメーカーや工務店、ゼネコンといった施工者が設計も行う形式)」ではない発注形態にすることが大事だということです。
こう書きますと「設計事務所の人間は自分の仕事をとられるから設計施工に反対するんだよね」というご意見も出るでしょう。
あえて否定はしません。
また、設計施工にはコストや工法を設計段階で決定できる、設計しながら平行して検討できるというメリットがあることは承知してます。
そのことによりプロジェクトがスムーズにすすむ、期間が短くてすむこともあるでしょう。実際我々もそのメリットを認め、設計施工をお施主様に薦めた案件もございます。
それでも我々のスタンスは「設計と施工は分離すべし」です。
その理由は監理者の立場が形式だけになってしまうことと、そのことがお施主様にとっての大きなデメリットを生むと考えるからです。
その理由は次回にお話します。
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